
天ぷらの専門店/武蔵野市 『天ぷら むらやま』
都心の名店の技と目利きを活かした期待の新星 わずか8席の贅沢空間
「天ぷら むらやま」は、吉祥寺に2024年11月にオープンしたカウンター8席のみの大人の隠れ家的存在の天ぷら専門店だ。店主の村山 貴宏(むらやま たかひろ)さんは、都心のハイクラスホテルで会席料理を一から学び、そこで対面式カウンターでの仕事に魅了され、丸の内「天政」や銀座「おのでら」で更に修業を重ね、技と目利きを磨いた。
仕入れは豊洲市場をはじめ、近隣の東久留米卸売市場などにも自ら足を運び、納得のいくものだけを選ぶ。仕込みから提供までを一人でこなす村山さんが、素材に合わせた温度やタイミングを音で利き、一品一品、揚げたてを提供するスタイルは、シンプルこそが最高の贅沢と思わせる。
メニューは気軽にこの雰囲気が味わえる3300円の「平日昼限定コース」から用意され、予約は必須ではなく、空いていれば飛び込みでも入れる気軽さが嬉しい。昼にゆったりと過ごすなら7700円の「おまかせコース」がおすすめ。夜のメニューは11000円の「雪つばきコース」、16500円の「夜のおまかせ」、22000円の「ちとせ」のほか、コースに追加できる単品の天ぷらも用意されていて、甲羅に全ての身を詰め込んだ「毛蟹の天ぷら」といった贅沢なスペシャリテも用意されている。
天ぷらに使われる食材は淡白で繊細な味わいのものも多く、その味わいを愉しむには何より質の良い油で揚げることが大切だ。「むらやま」では、質と鮮度に徹底的にこだわり、胡麻を焙煎せずに生搾りした「太白胡麻油」という胡麻油と「綿実油」を独自にブレンドしたものを使う。昼夜の営業ごとに毎回新しい油に取り替えているため、「むらやま」の天ぷらは、サクッと軽くて、胃にもたれないのが魅力だ。
温度管理も美味しさの秘訣で、揚げ鍋に目を向けると、よく磨かれた銅製の鍋を使用していて、そこからカラカラと心地よく油のはぜる音が聞こえなんとも心地よい。天ぷらは余分な水分を飛ばしながら旨みを凝縮させて揚げるので、銅製を使うのは衣に火を通しつつも、素材の水分が出たら油がそこに吸い込まれないうちに仕上げられるよう、熱伝導がよく、素材ごとの繊細な温度調整を行なえるためだという。
中心はほんのりと温かくとろっとしているにも関わらず、衣はしっかりサクッと仕上がった「生雲丹の大葉包み」や、旨みの凝縮された新潟県魚沼産の「石坂舞茸の天ぷら」などをいただくと一目瞭然。素材の旨みが引き出される意味を理解できる。
さらに自家製の天つゆ、大根おろし、すだち、そして卓上の2種類の塩にもこだわる。ひとつは、東京都青ヶ島で、地熱の噴気口から得られる湧水で作られる「ひんぎゃの塩」。ミネラルが豊富で苦味がなく、天ぷらの繊細な味を優しく支えてくれる。もうひとつは「トマト塩」。トマトのエキスをじっくりと染み込ませたオリジナルの塩で、爽やかな香りと旨みが特徴。この2種の塩が、さらに天ぷらをおいしくする。
ドリンクも天ぷらとの相性を考えたものを揃える。日本酒は、爽やかなタイプから芳醇な香りと米の甘みをしっかり感じるタイプまで揃え、好みのお猪口を選んでいただくのがたまらない。他にも国産のウイスキーやジン、ワインの品揃えも豊富。多彩なドリンクと天ぷらのマリアージュも楽しめる。
「車海老の天ぷら」は、まずはカリッと香ばしく揚がった海老の頭に「ひんぎゃの塩」をひとつまみ添えると、殻の風味がより際立ち、続けて提供されるふっくらと揚がった胴の部分にさらにすだちを搾ると、その味わいが爽やかに引き立つ。
カウンターの向こうで必要なタイミングで説明を加えてくれる村山さんは、一見寡黙な印象だが、話しかければ食材のこだわりや調理の意図も丁寧に説明してくれる。わずか8席のカウンターの程良いこの距離感は贅沢で、この店のしつらえはそういうことかと感心させられる。リラックスしながら「食と向き合う時間」を豊かな時間を提供してくれるのも、この店の大きな魅力だと感じた。都心へ出なくとも味わえる、普段使いとは一線を引いた上質なひとときを過ごすなら、ぜひ「天ぷら むらやま」に出かけてみたい。
施設名 | 天ぷら むらやま |
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住所 | 東京都武蔵野市吉祥寺本町2‐8‐9 ルミナス吉祥寺1階‐B 0422−27−6500 |
営業時間 | 月・火・水・日 11:30 – 14:30(L.O. 料理13:30 ドリンク14:00) 17:30 – 22:30(L.O. 料理20:30 ドリンク21:30) 金・土 17:30 – 22:30(L.O. 料理20:30 ドリンク21:30) |
定休日 | 木曜日 |
対応言語 | 日本語 |
メニュー | 日本語&英語 |
公式サイト | https://tempura-murayama.com/index.html ※最新の情報は公式サイトをご確認ください。 |




