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「村山かてうどん」/武蔵村山市 『肉汁うどん 青柳』
国産小麦100%。もちもちで強いコシのある太麺がやみつきになる名物「村山かてうどん」
多摩地域には「郷土料理」がいくつか残っている。多摩地域から埼玉県西部にかけて広がる武蔵野台地とその周辺地域で食されている「かてうどん」もそのひとつ。この地域は広く平らな土地があるにもかかわらず、水田の取水源となる川がないことや、水捌けの良い土壌であることから、米づくりには向かず、「小麦」を育てる農家が多かった。「村山かてうどん」をはじめ、このエリアには「武蔵野うどん」「小平うどん」と「うどん」を食べる文化が芽生え、各地で名物になっている。
「かてうどん」とは、茹でたあと水で締めた冷たい麺を、温かいだし汁につけて食べる「つけ麺」スタイルのうどんで、糧(かて)という小松菜などの茹で野菜が添えられるのが特徴だ。武蔵村山市にある『肉汁うどん 青柳』は、地域の活性化と市の発信のために同市の有志が結成した「村山うどんの会」公認店。地元のみならず、遠方からの来店も多い食事処だ。もとは1947年創業の精肉店。2007年より「つけ汁うどん」をメニューに取り入れた。
1日100人前の自家製うどんを、営業前に仕込んで提供する『肉汁うどん 青柳』の厨房を守るのは、三代目店主の遠藤礼美(えんどうれみ)さんと父青柳憲和(あおやぎのりかず)さん。うどんや出汁に使う材料の配合などは企業秘密で、美味しい小麦と削りたての鯖節や鰹節などをふんだんに使ったオリジナルのレシピだ。
取材日は平日にも関わらず、11時半の開店とともにお客が次々と訪れ、約26席ほどの店内は瞬く間に満席になった。注文の多くは看板メニューの、村山かてうどんである「肉汁ざるうどん(かき揚げ付き)」(860円〜)だった。
地域の発信のために生まれた「村山かてうどん」の歴史と次世代に継承する食文化
麺は、産地の違う国産小麦をオリジナルの配合でブレンドし、しっかりと踏み込まれたコシの強い太め。箸で持ち上げると重みがあり、弾力のある手切りの麺は、ストレートではなく、ところどころねじれた部分があってつけ汁にも絡みやすい。つるつるっと一度に啜って喉越しを楽しむというよりは、一本一本しっかり噛み締めて味わう田舎風のうどん。
削りたての鯖節と鰹や昆布などでとった濃口醤油出汁に合わせるのは、精肉店ならではの目利きで厳選された国産豚バラ肉。その豚肉の甘みと魚介の芳醇な香りのつけ汁にうどんを浸していただく。冷たい水でしっかりと締められ表面がつるんとした滑らかな麺は、噛めば噛むほどに小麦の甘さを感じる。お肉の入った醤油ベースのつけ汁との相性は抜群だ。
「村山うどんの会」の志々田陽介(ししだようすけ)会長は、「1835年頃にはすでにこの地のうどん文化があったようです。当時小麦は高価な食材であり、庶民は大麦やひえ、あわなどを主食にしていました。なので「うどん」は特別な食べ物でハレの日に欠かせない食事。主に冠婚葬祭の席で出される本膳料理の最後に提供されるもので、大勢集まる席で美味しいうどんを一度に振る舞うために、麺は事前に茹でて、麺同士がくっつかないように水に晒して締めたものを器に盛って準備しておき、提供する際には温かいつけ汁を添えていた。そのスタイルが今も受け継がれているのです」と話す。
武蔵村山市内には現在8軒の会員店があり、使用する粉の配合や製麺方法はそれぞれだが、どの店でも定番の肉汁うどんをいただくことができる。多摩地域の「スローフード」を求めて、武蔵村山市を訪れる「旅」はいかが?
店舗名 | 「肉汁うどん 青柳」 |
---|---|
住所 | 武蔵村山市本町4−6−5 |
TEL | 042-561-0143 |
営業時間 | 11:30〜14:00(14:00L.O) |
定休日 | 日・月・祝日 |
対応言語 | 日本語 |
メニュー | 日本語 |
ホームページ | |
村山うどんの会ホームページ |
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
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
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